離婚する際は、本人同士の話合いで子どもの問題や慰謝料などを取り決め、それを公正証書にしておくのが一番の方法です。
しかし、話合いが平行線でらちがあかないときもあります。
そのようなときは、公正証書を作ってもらえませんから、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停で取り決め事項をとりまとめてもらいます。
調停が成立すると、調停調書が出来上がります。
調停で決められた約束が守られないときは、調停調書に基づいて強制執行などの法的手続きをとることができます。
調停がまとまらないときは、訴えを起こして判決で決めてもらいます。
判決で裁判所から命じられた事柄が守られない場合は、判決書に基づいて強制執行などの法的手続きをとることができます。
離婚の成否や離婚に伴う諸条件を法的手続きによって実現する方法は、大きく分けると、①「公正証書」、②「調停調書」、③「判決」の3とおりあります。①から②、②から③へと番号が大きくなるに従って、時間と費用の負担が膨らんできます。
不貞やDVの証拠を集める
1.不貞の証拠
不貞の証拠として多いのが写真(特に興信所による写真)やメールです。ラブホテルから出てきた写真、肉体関係を想起させるようなメール、などは不貞の証拠として重要な意味を持ちます。
また、カバンの中に避妊具(コンドームなど)があったことを裏付ける写真、ポケットの中にあったラブホテルの割引券、クレジットカードの利用明細(ホテルを利用したことを裏付けるもの、その利用料金が宿泊2人分の料金だった、など)、なども証拠として大きな意味を持つことがあります。
また、自動車に取り付けた携帯用GPS(ココセコムなど)の記録に、不貞相手の駐車場に自動車を長時間停車していたGPS記録、ラブホテルの駐車場に停車したというGPS記録、などが証拠として提出されたこともあります。
また、ブログやSNS(フェイスブックなど)に不貞相手と楽しく過ごしていることを書き込んでいる記事なども証拠として提出されたこともあります。
また、夫婦間の会話の中で不貞の事実を認めた発言が含まれる録音。
2.DVの証拠
DVによって付いた痣などの写真、病院の診断書が多いです。
また、DVの目撃者の証言。
警察への被害届。警察へ相談に行った相談記録
DVの時に壊された物の写真
DVを受けたときに110番や119番した記録
暴力的な表現を含むメールや録音
保護命令(DV防止法)
同居する恋人等からDVを受けた場合には、以下のような保護命令を裁判所に申し立てることができることになります。
① 被害者への接近禁止命令
被害者の身辺につきまとったり、同居する住所以外の被害者の住居や被害者の勤務先などをうろつくことを禁止します
② 退去命令
同居している場合に、被害者が引っ越しの準備等のため加害者に二か月間家から出ていくこと及びその家の付近をうろつくことを禁止します。
③ 親族等への接近禁止命令
被害者の親族等の身辺につきまとったりすることを6か月間禁止します。
④ 子供への接近禁止命令
被害者と同居中の未成年の子供の身辺につきまとったりすることを6か月間禁止します。
⑤ 電話等禁止命令
被害者に対する面会の要求、深夜の電話、FAX,メールなどの一定の迷惑行為を6か月間禁止します。
などがありますが、状況に応じて必要な保護命令だけが認められます。
なお申立は、被害者か加害者の住所地(居所を含む)や暴行脅迫の行われた場所の裁判所にすることになります。
事件における配偶者名義の預金開示
銀行は、法律上の明文はありませんが、預金者に対する守秘義務を負っています。
判例上も、金融機関は、顧客に関する情報をみだりに外部に漏らすことを許していません(最高裁平成19年12月11日判決)。
そのため、離婚事件の資料にするため、銀行窓口に行って、配偶者名義の預金の取引開示を求めても応じてもらえません。
なお、離婚訴訟等において、裁判所通じて配偶者の取引開示を求めることができる事案もありますが、銀行名や支店名を把握していないと難しいことが多いです。
離婚する時には、配偶者の資産や収入を予め確認しておかないと権利実現が困難となることがあります
ご参考まで弁護士費用について
弁護士の費用は通常、着手金といって事件を受ける時に頂くお金と報酬といって事件が終わった時に頂くお金があります。
離婚調停の申立の依頼を受ける場合は、着手金として30万円(消費税を除く。以下同じ)を目安としています。財産分与や慰謝料など請求する金額により着手金を増額する事務所もありますが、当事務所では原則として増額しません。ただ、事案が難しい場合はご相談させて下さい。
調停では解決せず、訴訟提起をする場合には原則20万円を加算して頂きます。
調停の依頼を受けておらず、最初から訴訟の依頼を受ける場合は着手金として40万円を頂きます。
事件が終わった際の報酬は、離婚だけの場合原則30万円、慰謝料や財産分与など財産的給付を得られた場合は得た利益の10%を加算して頂きます。
費用が出せない場合は法テラスによる弁護士費用の立替制度をご案内します。