離婚原因ケース

裁判上の離婚原因

裁判上の離婚原因としては、①不貞行為②悪意の遺棄③3年以上の生死不明④強度の精神病で回復の見込なし⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由、と定められています(民法770条1項)。

浮気・不倫(不貞行為)と離婚原因
DVと離婚
モラハラと離婚
夫の借金と離婚原因

夫が高額な借金をして、十分に生活費を渡さないことは、悪意の遺棄もしくは婚姻を継続し難い重大な事由として離婚原因になることが考えれます。

ただ、高額の借金のため十分な生活費を渡さない夫への離婚請求事件で、借金以外に婚姻生活上の支障が特になく、妻が働けば生活も楽になり、借金にやむを得ない事情もある(結婚費用、親族の進学費用)として離婚を認めなかった裁判例もあります。(仙台地裁S60.12.19)

夫の借金だけで当然に離婚原因となるわけでもないです。

セックスレスと離婚原因

いわゆるセックスレスは離婚原因となるでしょうか?

この点、京都地裁昭和62年5月12日判決は、婚姻が、男女の精神的、肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意あるような特段の事情がないかぎり、婚姻後長年にわたり性交渉がないことは、原則として婚姻を継続し難い重大な事由に当たるというべきだとしています。

判例も、性的不能は、原則として婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断しています(最判昭和37年2月6日)。

セックスレスも、離婚原因になる可能性が高いです。

学歴詐称が原因で離婚できるか?

学歴詐称の場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するか否かが問題となります。

性格や相性、容姿を重視して結婚するのであって、学歴で結婚するわけではないから⑤には該当せず、離婚原因にはならないと考えることができるかと思いますが、一方で、学歴を結婚の条件とすることもあるようですので、学歴詐称では離婚原因にならないと言い切ることも難しいと思います。

私見としては、通常夫婦が円満に生活するうえで学歴が重要だとは考えにくいので、学歴詐称だけでの離婚は難しいのではないかと考えますが、詐称の程度によっては離婚原因になる可能性も否定はできません。また学歴詐称から派生して収入等にも詐称があったような場合には、離婚原因となる可能性は高くなってくると考えます。

有責配偶者からの離婚請求

有責配偶者からの離婚請求(自己の作り出した破たんを理由として離婚を請求すること)は許されないのが原則です。

しかし、➀相当長期の別居期間➁未成熟子の不存在➂相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、の要件を満たせば、有責配偶者からの離婚請求であっても認容される可能性があります(最大判昭和62年9月2日)