事件を起こした側

一審で実刑判決を受けたとき。

一審判決によって被告人の身柄拘束は、次のようになります。

(1) 在宅の被告人は、実刑判決を受けても判決確定までは、その判決によって身柄が拘束されることはありません。
控訴申立期間内に控訴申立がなされないとき判決が確定し、被告人は収監されます。

(2) 保釈中の被告人に実刑判決が言い渡されると、保釈の効力が失われ、被告人は直ちに収監されます。

控訴申立

一審判決に不服の場合は、控訴を申し立てることができます。

控訴審は、一審判決が不当かどうか、その当否を判断する裁判手続きです。
控訴申立の期間は、判決言い渡し日から進行し14日間ですが、初日は算入されません。期間の末日が土曜日・日曜日・国民の祝祭日・年末年始(12月29日から1月3日まで)にあたるときも算入されず、次の執務日まで期間が延長されます。

控訴申立ができるのは、検察官、被告人、被告人の法定代理人・保佐人、原審の弁護人です。ただし、原審の弁護人は被告人の意思に反することはできません。原審の弁護人ではなかった弁護士は、新たに弁護人の選任を受けなければ控訴の申立てができません。

控訴申立書は高等裁判所あてに作成しますが、提出先は原審裁判所です。なお、収監されている被告人は、刑事施設の長に控訴申立期間内に差し出せば、控訴申立があったものとみなされます。

控訴申立があると一審判決は確定しません。

控訴を申立てると、再び保釈申請ができることになります。
しかし、既に実刑判決を受けている被告人の場合、再度の保釈は狭き門で、保釈金も高くなるのが一般的です。

保釈が認められないときは、控訴審判決まで勾留が続きます。被告人が控訴を申立てた後の勾留日数は、原判決が破棄されると刑に算入されますが、破棄されないときは刑に算入されないので、服役終了日がそれだけ遅くなります。

控訴理由が必要

控訴するには、刑事訴訟法の定める控訴理由が必要です。

実務では、控訴理由として一番多く主張されるのが量刑不当で、次に多いのが事実誤認の主張です。

罰金の略式命令を受けたとき。

略式命令と不服申し立て

刑事裁判は、公開の法廷で審理し判決を宣告する公判手続きが原則です。

しかし、裁判を受ける予定の被疑者が犯罪事実を認めており、公判手続きによらず書面審理で刑を決める略式手続に異議がない場合に、事件の管轄がある簡易裁判所が検察官の請求によって、公判を開かないで検察官から提出された書類の審理のみで罰金100万円以下の罰金又は科料を科す命令が略式命令です。

略式命令の請求は検察官が起訴のとき行い、起訴状には「下記被告事件について公訴を提起し、略式命令を請求する。」と書いてあるのが一般的で、起訴状と一緒に捜査記録が一括して簡易裁判所へ提出されます。

略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から14日以内に、正式裁判を請求することができます。この請求は、第一審の判決があるまで、いつでも取り下げることができます。

正式裁判の請求があると、簡易裁判所は通常の規定どおり公判手続きによる審判を行います。
この場合、先に出されている略式命令には拘束されません。

正式裁判によって判決が宣告されると、略式命令は効力を失います。

正式裁判の請求期間(告知から14日間)が経過したり、その請求が取り下げられると、略式命令は確定判決と同じ効力が発生します。正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、略式命令の効力は確定判決と同じになります。

被害を受けた側