ネット誹謗中傷に関する言葉を知っておいてください
発信者情報開示請求
- インターネットの情報を掲載した人物を特定するものとして、発信者情報開示請求があります。発信者情報開示請求というのは、プロバイダ責任制限法4条1項を根拠にしていますが、メールやDMは開示請求の対象となっていません。
削除請求
- 削除請求とは、インターネットに掲載された情報の削除をサイト管理者等に求めることを言います。削除請求権を定める明文規定はなく、判例によって、人格権に基づく妨害排除請求権として削除請求ができるとされています。
ネット誹謗中傷の相談の前に用意するもの
発信者の特定・削除をしたい情報のURL
削除請求及び発信者情報開示請求を行うためには、対象を特定するためにURLが必要です。そのため、URLがすべてわかる状態でスクリーンショットなどにより、該当の投稿を保存しておいてください。また、削除した情報の記事のうち、問題があると考える部分を特定していただく必要があります。
無料法律相談を行っております
電話無料法律相談は1988年(昭和63年)から続けており、月曜日~金曜日 午前10時から午後5時まで行っております。その日の担当の弁護士が、ご相談内容の概要をお聞きし、アドバイスをいたします。お気軽にご相談ください。名古屋事務所では、土日も電話での法律相談をお受けし対応しております。
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- 一宮事務所0586-82-2002
- 春日井事務所0568-29-7011
東海で出張法律相談
各地で出張法律相談をしております。現在は、愛知県庁、名古屋市役所、名古屋市北区、名古屋市緑区、名古屋市中川区、春日井市、岡崎市、豊田市、刈谷市、江南市、一宮市、武豊町、豊橋市、岐阜市、多治見市、大垣市、高山市で開催しております。インターネット上の誹謗中傷は、今や社会問題となっております。一人で思い悩む前にご相談ください。
削除請求・
発信者情報開示請求
- インターネット上で誹謗中傷されている!
- インターネット上で個人情報が勝手に掲載されている!
- インターネット上で会社のネガティブな情報が書き込まれている!
- インターネット上で自分になりすましたアカウントが存在する!
そのような記事等を削除したい、投稿者を特定して投稿をやめさせたい、慰謝料を請求したいといったインターネット上のお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
削除請求について
削除請求の流れ
インターネット上で、誹謗中傷する記事が掲載されている場合や個人情報や個人の写真が無断で掲載されている場合など、個人あるいは法人の権利が侵害されている場合には、それらの削除を求めることが可能です。
サイト管理者やサーバー管理者に削除を請求することになります。
削除請求する場合の注意点
- 削除請求したことで、削除請求したこと自体をネタにされ、削除した情報がかえって増えることもあります。
- 本体のURLを削除しても、ミラーサイトのようなものが残っている場合があります。その場合、別途削除請求する必要があります(費用も別途)。
- サイト管理者の特定ができず、削除請求を断念する場合もあります。
- 海外法人の場合、裁判所の削除決定に従わない場合もあります。
任意の削除請求
フォームなどを利用する場合
サイトの中には、削除依頼をするためのフォームがあったりメールを送ることができるようになっていることがあり、それらを利用して削除請求することができます。所要時間は1日~1週間と言われています。ただ、サイト側が投稿者のメールアドレス等を把握している場合には、投稿者に対して意見照会を実施することがあり、その場合にはもっと時間がかかります。
この方法は、簡易かつ迅速ではありますが、削除したい対象を明確にする必要がありますし、なぜ権利を侵害しているのかを説明する必要もあります。それが十分に伝わらないと、削除されないことになりますし、なかには対応されないまま連絡も来ないケースもあります。
テレコムサービス協会の書式を利用する場合
一般社団法人テレコムサービス協会が、削除に関して、ガイドラインを作成しており、そのガイドラインに従って、実質的に削除を求めることができます。具体的には、「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」という書類を作成し、サイトの管理者やプロバイダに郵送することになります。なお、同書面には実印を押すことや印鑑証明書、身分証の写しなどの提出も求められることが多いようです。所要時間は3~4週間と言われます。
サイトの管理者やプロバイダは、上記の依頼書が届くと、書き込みをした人物にその書き込みの削除の可否を尋ね、7日間以内に反論がなければ書き込みが削除されることがあります。書き込んだ人物と連絡がとれない場合や反論があった場合には、サイト管理者やプロバイダが「権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」があると判断した場合には、削除されることになります。
法的手続きによる削除請求(仮処分命令の申立て)
任意の削除請求をしても削除に応じてくれない場合、削除仮処分という裁判手続を利用することが可能です。最初から仮処分の申立てをすることもできます。
仮処分の手続は、通常の裁判よりも迅速に行われ、裁判所が申立てについて一応間違いないと判断した場合、担保金を供託することを条件に、削除を仮に認めてもらうことができます。裁判手続ですので、法律上の主張やそれを裏付ける証拠の提出が必要になりますが、削除を認める仮処分決定が出れば、基本的にプロバイダは削除に応じてくれるようです。所要時間は、申立てをしてから、日本法人の場合は2~4週間、海外法人の場合は2~3か月と言われますが、サイト側の反論の回数などによって期間は変わります。
削除仮処分申立てのために用意するもの
- 投稿記事が記載されたウェブページの印刷物・スクリーンショットが必要となります。
★URLがすべて表示されるように印刷しましょう。
裁判例紹介
削除仮処分が認められた事例
元AV女優たる別人と同一人物であるかのように装われて、第三者にツイッターのアカウントを開設された者(債権者)が、米国のツイッター社(債務者)に対し、名誉権を侵害されたとして、人格権に基づく妨害排除請求権の行使として当該アカウント全体の削除を求めました。
裁判所は、本件アカウントは、アカウント名、プロフィール欄の記載、ヘッダ画像及び投稿記事の全てにおいて、債権者が本件アカウントを開設したかのように装い偽った上で、閲覧者に対し、債権者が元AV女優であって、投稿した画像のアダルトビデオに出演しているかのような印象を与え、かつ、債権者がそのような画像を投稿したかのような印象を与えることを目的として開設され表現がされたものと認められる。このように外形的にみても、本件アカウントは、アカウント全体が、どの構成部分をとってみても、債権者の人格権を侵害することのみを目的として、明らかな不法行為を行う内容の表現である。
このようなアカウント全体が不法行為を目的とすることが明白であり、これにより重大な権利侵害がされている場合には、権利救済のためにアカウント全体の削除をすることが真にやむを得ないものというべきであり、例外的にアカウント全体の削除を求めることができると解するのが相当である。このような不法行為のみを目的として他人を偽るアカウントが削除されたとしても、本件アカウントの保有者としては、別に正当なEアカウントを開設することが何ら妨げられるものではない。以上のように判断し、仮処分命令の申立てが認められています(さいたま地方裁判所平成29年10月3日決定)。
削除仮処分が認められなかった事例
矯正歯科診療専門の歯科診療所を開設・運営する医療法人(債権者)が、債務者の管理・運営するウェブサイト上に投稿された記事により人格権(名誉権)が侵害されているとして、その記事の削除を求めました。投稿記事は「予約制だが2時間以上待たされることが何回かあり」「2年半の治療予定が3年以上かかり」「こちらがいつ終わるか聞いてもはぐらかされる」「働いている人もころころ変わりこちらの意見を伝えても訳がわかってなさそう」「料金は安いが私は失敗したと思いました」等の内容でした。
裁判所は、投稿記事は、いずれも当該診療所で投稿者が体験・見聞した事実、感想等であり、事実等の摘示であるところ、全体として診療に不満を抱いた患者による投稿と理解できることに加え、体験談等には公共性があり、情報の価値が高いものともいえることから、記事が債権者の受忍限度を超えてその社会的評価を低下させるものとは認められないとし、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情がないことの疎明があるともいえないとして、申立てを却下しています(大阪地方裁判所堺支部令和元年12月27日決定)。
検索結果を
削除してほしい!
- 検索サイトで検索をすると、自分を誹謗中傷する記事が掲載されているウェブページの検索結果が出てくる!
- 自分を誹謗中傷する同じ内容の記事が複数のサイトで投稿されているため、それぞれ投稿記事を削除するのが大変!
- 投稿されたサイトに削除請求をすると炎上してしまう可能性がある!
このようなとき、グーグルやヤフーなどの検索サイトを運営している検索事業者に対して、検索結果を削除するように求めることができます。
削除を求める検索結果とは、リンク先のURL、表題(タイトル)、タイトルの下部に表示されているリンク先URLのウェブページの抜粋部分を指します。
検索結果削除請求の方法
どのような場合に申立てが認められるか?
申立てが認められるためには、タイトル、スニペット(リンク先URLのウェブページの抜粋部分)、リンク先URLのウェブページについて、プライバシー権侵害や名誉権侵害などの違法性が認められることが必要です。
仮処分での検索結果削除請求
検索結果削除仮処分申立てのために用意するもの
- 投稿記事が記載されたウェブページの印刷物・スクリーンショット
★URLがすべて表示されるように印刷しましょう。 - 検索結果で表示される収集元URL(リンク先ウェブページのURL)のスクリーンショット
★検索結果にマウスポインタを合わせると、ブラウザの左下隅に表示されるので、その表示をスクリーンショットしてください。
裁判例紹介
検索結果削除請求が認められた事例
Aさんは、強姦の被疑事実により逮捕されましたが、その後、釈放されました。そして、Aさんの被疑事実について、嫌疑不十分のため起訴しない処分になりました。
検索サービスを提供するウェブサイト上で検索をすると、Aさんが逮捕された事実などの内容が書き込まれたウェブサイトのURLやウェブサイトの表題、抜粋が表示されてしまうため、Aさんは、それらの検索結果の削除を求める請求を検索サイトを運営する会社に対し求めました。
札幌地方裁判所は、Aさんが強姦の被疑事実について嫌疑不十分により不起訴処分となっていること、逮捕から7年以上が経過していることなどによれば、検索結果を表示する社会的必要性が低くなっている一方で、検索結果が表示されることにより私生活上大きな不利益を負っているから、検索結果の表示を維持する必要性よりも、強姦の被疑事実により逮捕された事実を公表されないAさんの法的利益が優越することは明らかであるとして、検索結果の削除請求の一部を認めました。(札幌地裁令和元年12月12日判決)
削除完了したのに表示される場合
ブラウザのキャッシュについて
一度表示したウェブページのデータを手元に保存しておく仕組みを「ブラウザのキャッシュ」といいます。ブラウザのキャッシュを消す方法は、ブラウザによって操作が異なります。まずは、最新の状態のウェブページを表示してみましょう。
- Microsoft Edgeではメニュー→「新しいInPrivateウィンドウ」をクリック→開いたウィンドウで検索しましょう。
- Chromeではメニュー→「新しいシークレットウィンドウ」をクリック→開いたウィンドウで検索しましょう。
検索サイトのキャッシュについて
検索サイトは、定期的に検索事業者のサーバーに取り込み、検索に備えています。数日から1週間程度での更新が見込まれますので、更新を待ちましょう。
Googleの公式サイト内にある「Search Console」の「検索から古くなったコンテンツを削除する」というページに行き、Googleに対して「削除リクエスト」を行いましょう。この手続をする際には、Googleのアカウントが必要です。
削除仮処分について
長期間キャッシュが更新されないとき、フォームからの削除請求をしても削除されないとき、削除仮処分の方法も検討できますが、URL等の情報自体(検索結果に表示されているタイトルやスニペット)に人格権侵害がなければ、削除が認められません。
発信者情報
開示請求について
インターネット上で記事が投稿されるためには、スマートフォンやパソコン等から契約しているプロバイダ(KDDIやソフトバンク等)を通じてサイト(Twitterや5ちゃんねる等)に投稿するという流れをたどることになります。つまり、投稿者を特定するためには、これとは逆の流れで開示を求めていくことになります。そのため、まず、サイト側(サイト管理者といいます)に対して、投稿者が利用したプロバイダがわかる情報(IPアドレス)を開示させ、その次にプロバイダ(接続プロバイダといいます)に対して、契約している投稿者の住所・氏名を開示させるという手続きをたどる必要があります。このように、開示請求は、原則として、①サイト管理者に対するIPアドレス等の開示請求を経た後に、②接続プロバイダに対して投稿者の住所氏名を開示させるという手続きを経る必要があり、サイト管理者に対する請求と接続プロバイダに対する請求とは、それぞれに費用がかかります。
発信者情報開示請求の方法
発信者情報開示請求の流れ
インターネット上で、誹謗中傷する記事が掲載されている場合や個人情報や個人の写真が無断で掲載されている場合など、個人あるいは法人の権利が侵害されている場合で、投稿を削除するだけでは足りず、投稿者を特定して慰謝料を請求したい、今後このような投稿をしないように約束させたいという場合にはサイト管理者や接続プロバイダに対して発信者情報開示請求という手続きをとることになります。
発信者情報開示請求の注意点
- IPアドレスの開示後、接続プロバイダに対して通信記録(ログ)の保存依頼をします。任意での保存をしてもらえないときは、別途ログ保存仮処分を申し立てることになりますので、別途費用がかかります。
- 開示請求によって最終的に発信者を特定することができない場合があります(投稿者がネットカフェで投稿している場合など)。
- ログが削除されており、該当する投稿を発見することができない場合があります。
- MVNO(格安SIMを提供している事業者のこと)のような場合、開示請求が追加で必要な場合があり、別途費用がかかります。
- 削除請求は、別途費用がかかります。
- 海外法人の場合、裁判所の決定に従わない業者がいます。
- 発信者情報開示請求をすると誹謗中傷の投稿がかえって増えるリスクがあります。
サイト管理者に対するIPアドレスの任意開示請求
フォームなどを利用する場合
サイトの中には、開示請求を依頼をするためのフォームがあったりメールを送ることができるようになっていることがあり、それらを利用してIPアドレス等の開示請求をすることができます。手続きの流れは削除請求と同じですので、削除請求のホームページをご覧ください。
サイト管理者に対するIPアドレス等の開示請求(仮処分命令の申立て)
任意の開示請求をしても開示に応じてくれない場合、サイト管理者に対してIPアドレス等の開示仮処分という裁判手続を利用することになります。任意の開示が期待できない場合等には最初から仮処分の申立てをすることもできます。
仮処分の手続は、通常の裁判よりも迅速に行われ、裁判所が申立てについて一応間違いないと判断した場合、担保金を供託することを条件に、IPアドレスの開示を仮に認めてもらうことができます。裁判手続ですので、法律上の主張やそれを裏付ける証拠の提出が必要になりますが、開示を認める仮処分決定が出れば、基本的にサイト管理者はIPアドレスの開示に応じてくれるようです。所要時間は、申立てをしてから、日本法人の場合は1~2か月程度、海外法人の場合は2~3か月と言われますが、サイト側の反論の回数などによって期間は変わります。
接続プロバイダに対する住所・氏名の開示請求(訴訟)
サイト管理者にIPアドレス等の開示をしてもらうと、そのIPアドレスから接続プロバイダがどこかが判明します。そこで、接続プロバイダが判明したら、接続プロバイダに対して投稿者の住所・氏名を開示するように請求することになります。接続プロバイダに対する開示請求の仕方としては発信者情報開示請求書の送付という手段もありますが、これは、接続プロバイダがこの書面を受け取ると投稿者に対して開示してよいかを聞き、同意がもらえない場合には開示しないこととなっているため、開示されないことも多いです。そのため、原則としては、接続プロバイダに対して、発信者情報開示請求訴訟という訴えを提起して、投稿者の住所・氏名を開示するように求めていくことになります。
また、このような訴訟を提起する前に、接続プロバイダに対してログの保存を依頼します。ログとは通信記録のことであり、一般的には3か月から6か月の期間が経過するとログが消されてしまい、住所・氏名が判明しないこととなります。そのようなことがないように、ログの保存を依頼するのですが、任意でログの保存に応じてもらえない場合もあります。そのような場合には、その接続プロバイダに対して、ログ保存の仮処分という裁判所の手続きが必要となり、別途費用がかかります。
そして、ログの保存ができると、接続プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟という訴訟を提起し、投稿者の住所・氏名を開示するように求めていきます。こちらは訴訟手続きとなるので、判決までに3~6か月程度かかります。そして、判決がでると、一般的には、接続プロバイダが2~4週間程度で投稿者の住所・氏名を開示します。
トータルの時間
以上のような手続きをたどる必要があるので、住所・氏名が開示されるまでの期間は必要な手続きの回数によって変動がありますが、だいたい4か月から8か月程度とされています。
発信者情報開示請求のために用意するもの
- 投稿記事が記載されたウェブページの印刷物・スクリーンショットが必要となります。
★URLがすべて表示されるように印刷しましょう。
投稿者特定後の損害賠償請求
投稿者が特定するとその投稿者に対して、名誉棄損やプライバシー侵害等を理由に慰謝料を請求することができます。この請求の中に、これまでの手続きにかかった弁護士費用を調査費用として追加して請求することも可能です。もっとも、調査費用については全額の請求を認めた判例や1割の限度でしか認めなかった判例等様々で、必ずしも請求が認められるとは限りません。また、請求される投稿者の資力によっては調査費用分も回収できない場合もあります。